ハリルホジッチ元監督は訴訟するか?
2018.06.02.
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FROM | 連合会
弁護士の佐野です。こんにちは。
今回は、世間を騒がすハリルホジッチ元監督の訴訟について、簡単に解説したいと思います。
私も詳しくはないのですが、報道を見ていると、弁護士に依頼したのだそうです。ちなみに私と同期の弁護士です。本当かどうか分かりませんが。
訴訟が暴走迷走かどうかは別として、本当に訴訟するかどうか疑問です。
ここでは訴訟類型とかには踏み込みませんが、争点としては監督契約の解除の有効性が問題となります。契約には、「選手とコミュニケーションを取る能力がない」といったような文言はないと思いますので、「契約を継続できない重大な事情があれば解除できる」といった条項があるのではないかと推測しています。これに該当するかどうかが問題となります。
ワールドカップは本年6月14日から1ヶ月間で行われます。どんな訴訟類型で提訴したところで、第1回期日が来る頃にはワールドカップは終わっているでしょう。それを百も承知で提訴するとなると、提訴の意味は、「契約を継続できない重大な事情」がなかった、ということを立証することで、元監督の名誉を回復するだけということになるんでしょう。ちなみに、提訴額は1円と聞いています。
西野監督が上手く結果を出せば、国民感情としては、「交代させて良かった」、せいぜい「元監督が育ててくれた」、といったことになるんではないでしょうか。結果が思わしくなければ、「もっと早く交代していれば」、せいぜい「西野監督でもダメだった」、といったことになりそうです。いずれにしても、「元監督なら何とかしていたかも」という雰囲気はなさそうです。
この状態で、「契約を継続できない重大な事情」がなかった、ということを立証したところで、名誉は回復しません。むしろ、反証される過程で色んな事情が出てきて逆効果です。ワールドカップから帰ってきた選手たちがこぞって敵側に回って証言するということにでもなれば、さらに目も当てられないことになるでしょう。
また、一般論としては、契約書に守秘義務の条項や、不利益なことをしないことの条項などが入っているのは常識だそうです。法廷で何かを言えば、契約違反になることもあり得ます。そうなると、違約金も支払われないこともあり得ます。さらには、契約相手を訴えるような監督を雇うチームが世界にあるかということも疑問です。
これほど後ろ向きの裁判となると、普通は受任しないと思います。受任するとしたら、桁違いのお金をもらわないと、やっていられません。判決となると1年後とかになってもおかしくありません。その間マスコミ対応など、普通の訴訟では考えられないほど多くの仕事があるでしょう。
さて、先を考えずに本当に提訴するのか、言うだけ言って何もしない口先だけの人として終わってしまうのか、元監督は進退窮まるところに行ってしまいました。どうなるんでしょうね~。
以上
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