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スポーツのプレー中の法的責任

2018.05.18.

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京都弁護士会の佐野就平です。

今回は、最近話題の日大アメフト部の「悪質タックル」について簡単に書いてみたいと思います。あくまで推測も含むものであって、確定的な内容ではないことはご了解ください。

さて、テレビで見る表現は、「悪質タックル」ですが、こう表現すると「ラフプレー」かのように思えてしまいます。しかし、報道を見る限り、刑事事件の「暴行」「傷害」と表現する方が正しいように思います。

ボクシングやレスリングなど、スポーツのプレー中に怪我を負わせた場合、通常、違法性は問われません。それは、ルールに従っているからです。ルールをはみ出すかどうか微妙なものはラフプレーということになると思います。プロレスで明らかにルール違反のパイプいす攻撃などは、一見するとラフプレーの枠には入らない暴行行為といえそうですが、それも暗黙の了解で含まれたエンターテイメントとして成立しているので、法的に「ルール違反」と判断することは軽々にはできません。

プレー「時間」中に「フィールド」で「タックル」が行われ、あたかもプレーのように見えたとしても、それはプレーに見えるようにカモフラージュされた「暴行」でしかありません。突然歩道でタックルされて怪我をするのと同じことです。

これは、民事上不法行為の責任を問われ、損害賠償を命じられる可能性があります。さらに、刑事事件として扱われて、逮捕されたりすることも想定されます。加害者は、将来のプレーヤーとしての可能性も就職の可能性も閉ざされてしまうほどの重大な事態です。

じゃあ、監督は・・・。

どうやら、報道を見ていると、監督の指示がない限り、選手はあのようなプレーはしないようです。まあそらそうでしょうね。

どれくらい監督が選手を支配していたか、という問題があり、その程度によって、選手以上の責任を問われることがあり得ます。損害賠償についてはもちろん、刑事責任も、「そそのかしたやつ」ではなく「正犯」として処罰される可能性があります。

監督は、選手のせいにして逃げているようですが、きちんと謝罪して社会的責任を取るということをしないと、余計にひどい結果になるかもしれません。この監督に限らず、同じように対処する上司など、似たようなケースは多数あります。今後とも注目ですね。

それではまた。

 

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